不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンと言われ、他の投資に比べて比較的リスクが少なく、長期的な安定収入も期待されますが、想定外の損失も起こりえます。そこで、初心者が陥りやすい失敗例と失敗しないためのコツを紹介します。
不動産投資の目的や判断基準がない
不動産投資をする場合、なぜ不動産投資をしたいのかがあいまいだと、目的達成のための方法や手段、つまり投資戦略そのものが決まらないことになります。思わぬ損失を被るなどの失敗を避けるには、何を目的に投資をするのかを明確にしておく必要があります。家賃収入のみで暮らせる収入を確保して脱サラしたいのか、将来の年金の足しにするために安定した収入が欲しいのか、短期の売買で売却益を狙うのか、その目的によって、不動産投資の方法や戦略が違ってきます。また、利回り何%以上とか購入価格はいくらまでといった判断基準も明確にしておかないと、物件に目移りしてしまい、思わぬ損失を招くことになりかねません。なんとなく売買をして失敗しないためには、むやみに人の真似をしたり、情報を鵜呑みにしたりせず、目的と判断基準を明確にしておくことが大事になります。
目先の利益だけを考える
不動産投資とは、基本的には中長期の運用を目指した投資です。ところが、目先の利益にとらわれて需要の低い物件を買った結果、退去された空室に入居者がなく、赤字が解消されないという例はよくあります。不動産投資では、まず不動産賃貸を行う事業主という意識でスタートする方が良いでしょう。事業主の意識があれば、その物件は入居の需要が高いか、あるいは入居希望者が家賃を滞納する恐れがないかなどへの意識も持つことができ、事前にリスクを減らす努力もできます。
不動産投資で起こりうるリスクを見てみると、次のようなものが考えられます。
- 空室
- 家賃相場の下落
- 家賃滞納
- 同じエリアでの競合物件発生
- 地震などの天災
- エリアの評価下落
- 犯罪発生などによる評価下落
- 金利上昇
- 法令や税法の変更
- 流動性の低下
- 本業の収入低下による経費倒れ
この他にも様々なリスクが考えられますので、初心者の方であれば、中長期にわたって需要のある物件を選ぶとともに、これらのリスクへの対応も勉強しておくべきでしょう。
全て自分一人で行おうとする
不動産投資が初心者という方でも知識があると、物件の運営を全て自分で行おうとする場合があります。確かに、その方が経費を削減できますが、入居者の募集から退去後のクリーニング、入居者からのクレーム対応など、様々な業務を初心者が一人で行うのは難しいでしょう。
そこで、信頼して任せられる管理会社を探すことが、優良物件を見つけるのと同じくらい重要になります。できれば複数の管理会社にヒアリングして、信頼できる管理会社を見つけましょう。様々なリスクへの対応も相談できる管理会社であれば、なお良いでしょう。
初心者が不動産投資に失敗しないために必要なこと
ここまでは、不動産投資の初心者が失敗しないために、避けるべき点を見てみましたが、それだけでは十分とは言えません。より積極的に取り組むために大事なポイントを以下に見てみましょう。
セミナーなどに参加して不動産投資について事前にしっかり勉強する

不動産投資はローンを組んで購入したら、後は管理会社に任せて家賃収入を受け取るだけで良いと簡単に考えるのは間違いです。運が良ければそれでも利益が出るかもしれませんが、大半の場合はそうはいきません。不動産投資事業を行う経営者という自覚を持って、事前に不動産価格の変動、金利の動向、物件の立地条件、物件のあるエリアの他物件の動向など、様々な関連情報を収集して勉強しておけば、リスクを減らし、結果的にリターンを増やすことになります。
情報は、書籍、インターネットでも得られますので、それらを活用するのもよいでしょう。なかでも、一番良いのは不動産会社などが開催しているセミナーなどに参加することです。専門家の話が聞けますし、すでに不動産投資を実践しているオーナーの方からアドバイスを頂く機会があるかもしれません。そうした努力を重ねて行けば、失敗の可能性も低くなるでしょう。
収入だけでなく、維持にかかる経費についても十分に考える
不動産投資の収支を考える場合、「毎月の家賃=収入」、「毎月のローン返済=支出」と単純に考えがちです。ですが、不動産は取得した時点から様々な経費が発生します。取得する際には不動産取得税や登記費用がかかりますし、保有しているだけでも固定資産税が発生します。また、中長期で保有すれば、リフォームなどの修繕費用も必要になってきます。このような突然の出費にも耐えられるように、余裕をもった資金計画を立てることが重要になります。
不動産投資仲間を作る
不動産投資は一人でできるビジネスと思われがちですが、仲間を作ることも成功の可能性を高めるのに有効な方法です。一緒に勉強したり、リスクを承知で挑戦したりする仲間が身近にいれば、互いに触発し合ってモチベーションを維持でき、また互いの経験や知識を共有できるというメリットもあります。また、投資家同士のつながりがあれば、有益な情報やアドバイスを得られる機会があるかもしれません。そのようなつながりは大事にしていきましょう。
まとめ
不動産投資の初心者であれば、事前に収支はもちろん、経済や物件の立地など様々な関連情報を少しでも多く収集して、しっかりと勉強することが失敗をしないために大切なことです。また、セミナーなどへの参加や投資家同士のつながりなど、有益な情報が得られる機会は大事にしていきたいものです。